K・Wさん

プログラム司会

自己紹介

1965年生まれ 男 独身
料理が趣味だが食べてくれる人がいないため休眠中

体験談

バブル景気も盛りの頃、気の置けない仲間と共に飲む酒の楽しさを知りました。私は、夜の街の華やかさの虜となり、その誘惑に抗えなくなっていきました。ほどなく馴染みの店もでき、一人で飲み歩くことも多くなり、連日の二日酔いから迎え酒という最悪のサイクルにはまっていきました。

アルコール依存症で専門病院に入院する50歳までの約30年間、楽しいときもつらいときも苦しいときも常に私の傍らには酒がありました。体調、考え方、感情、行動原理、あらゆるものが酒の支配下に置かれ無為に過ぎる毎日。人として社会人としての終わり、そして生命の終わりをも意識せざるをえなくなり、どうにもならなくなって、やっと私は酒との長い長い蜜月のときを終わらせることを決意しました。しかし決意はしたものの失敗をくり返し、本当に酒と縁をきることができるまでにはそれから数年の時間がかかり、改めて酒のこわさを知ることとなりました。

酒をやめたからといってすごく幸せになったなどということはなく、ただ普通の日常が続くだけでした。しかし病院デイケアと自助グループに通いながら素面のすっきりした頭と体で過ごすおだやかな毎日は、それだけでとても新鮮に感じました。

酒に飲まれていた時、できないことがたくさんあった私は、酒を止めた今、できることがとても増えました。そして、できることが増えるということは生きている喜びを感じる場面が増えるという当たり前のことに改めて気づかされます。依存症は、進行性の病であり、死に至る病です。ほおっておくと自分の周りの大切な人を巻き込みながらいずれは取り返しのつかないことになります。

依存症からの回復には、専門医療や依存症からの回復経験者などの周囲のサポートが非常に重要になってきます。私も周囲の人たちに助けてもらいながら一日一日飲まない日を重ね、回復への道を歩んでいます。今度は自分がしてもらったように、ここ大石クリニックで、今、依存症で悩んでいる人達に回復の喜びを少しでも伝えることができるよう微力ながら頑張っていきたいと思っています。