インターネットやオンラインゲームは最近の文化であり、若者にとってはあって当たり前のものです。他者との連絡や調べ物にもインターネットが使われていることを考えれば、今や若者に限らず現代を生きる人々にとって欠かせない存在ともいえます。しばしば完全にネットを使わないこと(=断ネット)を望む親御さんがおりますが、スマートフォンが普及し、いつでもどこでもインターネットやゲームを快適にできる今、断ネットは至難の業です。ただし、一部のゲームをダウンロードしない(課金コンテンツが豊富なもの、オンライン要素が豊富なものなど)、ガラケーやお年寄り用スマホを持つなどの工夫により、使用時間を大幅に減らすことは可能です(=節ネット)。「やめたくはないが、ゲーム時間を減らす必要はある」と考えている患者さまも多く、治療モチベーションを考慮するとこれが治療目標として現実的であると考えます。
ネット依存症(ゲーム依存)
当院は入院設備を持たないため、外来通院での治療となります。ネット依存の治療で一般的なものは集団精神療法ですが、そのときの精神状態によっては薬物療法も行います。

1、集団精神療法

毎週 水曜日 18:50~20:30
毎週 木曜日 18:50~20:30
同じようにネットやゲームによる問題を抱えている他の患者さまと一緒にこれまでの生活を振り返り、これからの健全な生活の送り方について考えます。同じゲーム好きの仲間と好きな話をしながら、一方で他の優先すべき活動に目を向けられるような真剣な話し合いを行います。ほとんどが10代・20代前半の男性ですが、ときどき女性や社会人の患者さまも参加しています。なお、こういった集まりは医療機関に限らず、『ゲームをやめる会』という自助グループでも行われています。他の疾患に比べると数はありませんが、一部地域では開催されておりますので調べてみると良いでしょう。

2、薬物療法

先述したように、他の精神疾患を合併している場合にはその症状に対して投薬治療が必要になります。投薬により症状が落ち着いてくると、ネットやゲームのやり方にも変化が出てきます。

治療期間について

治療期間については、上記治療を受けながら概ね2年ほど通院を続けます。しかしそもそも重症(引きこもりの状態が続いており、寝る間も惜しんで1日中ゲームをしている)の方や通院するうちに状態が悪化してしまった場合などは、入院設備のある病院と連携し断ネットによる入院治療を行ないます。

なお、ネット環境があるとゲームをしてしまう、本人のネットの問題に家族が対応しきれないなど、単身生活に問題がある方の場合はグループホームへの入所も検討します。生活指導員のもと、ネット使用の引き金を避けた安全な環境で規則正しい生活習慣を築くことができます。当院のグループホームについて詳しくはこちら

本人が来たがらない場合

まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。ネット依存は家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。