DV被害に遭われている方へ

日本では、古くからの家族観・社会制度により、習慣的・潜在的に男性優位な社会構造となっていました。男は仕事・男は男らしく、女は家事・子育て・女は女らしく、といった性別の役割分担の考え方が社会的・文化的に根付いています。 男性優位な構造には、「男性を支配する側、女性が支配される側」という考え方があり、家庭内の暴力(DV・ドメスティックバイオレンス)は単なる「夫婦ゲンカ」と見なされることも多く、訴えにくい環境にあります。訴えたところで、DV・ドメスティックバイオレンスの全てが解決するわけでなく、相手に更なる恨みを持たれてしまい、別れた後には付きまといや脅迫などのストーカー行為に発展する事もあります。

このようなことになってしまうのは、加害者(DVを起こす当事者)に適切な対応がなされていないからだと考えます。加害者にも、暴力や支配に走ってしまう何かしら原因があるのです。その原因を突き止めることは簡単なことではないでしょうし、原因をつきとめた所でDVの解決には結びつかないかもしれません。加害者は、自分は何も悪くないと思っているかもしれません。こういった加害者自身のゆがんだ認知を修正し、暴力や支配ではなく、人との繋がりを築いていくことが大切だと考えます。

そのためには、適切な治療が必要です。当院では加害者の治療プログラムを行い、新しい人間関係を築くためのお手伝いをさせていただきます。また、DVは男性から女性だけでなく、女性から男性へのケースも稀ではありません。

被害に遭われている方のケアも同時におこなっています。被害にあわれながらも加害者への治療を望まれている方のご相談にも対応させていただきます。

DV被害者に与える影響

DVに遭っていないか?チェックしてみましょう

  1. アナタのことを見下したような言い方(ブス、バカなど)、嫌悪感を感じる言い方で呼びますか?
  2. 自分のことを優先されないと、怒ったり、ふてくされたり、暴言を吐いたりしますか?
  3. 他の人と話したり、出掛けたりするときに、誰とどこに行くのか?などあなたの行動をなんでも知りたがりませんか?
  4. 携帯を勝手にチェックしてメールやラインをみられたりしていますか?
  5. あなたが怖いと感じるような行動・態度をとることはありますか?
  6. あなたが怖いと感じる態度(物に当たったり、暴言をはいたり、あなたに手をだしたり)をとった後、急に優しくなったり、謝ったりすることはありますか?

DVを防止していくには、気づきが大切になります。暴力だけがDVではありません。あなたを束縛・支配しようとする相手の見えない力に、あなたが違和感を感じることが防止につながります。あなた自身が、「自分が悪いのだから、自分さえ我慢すれば・・・」「普段は優しい人だから」と見て見ぬふりをしていることで、DVの問題は大きくなります。意見の食い違いやケンカの原因は何だったでしょうか? 相手の顔色ばかりを気にしてませんか?

1. 平手で打つ、殴る
 
2. 物を投げる、ぶつける
 
3. 足で蹴る
 
4. 刃物などの凶器をからだにつきつける
 
5. 髪をひっぱる
 
判定(チェックした合計点数)

これらのうち、一つでもあてはまる場合は、DVを受けている可能性が高いです。

DV家族の方へ

当院では、DV行為を行なう本人を治療につなげたいと思う、ご家族やパートナーの方のための治療プログラムを行っています。DV行為の原因の一つに、コミュニケーションの問題があります。コミュニケーションの方法をほんの少し変えるだけで、DV行為について本人が考えることができ、治療につなげることができます。一般的にはあまり知られていないことですが、現実的には有効で、DV行為を治療につなげることが可能となり、被害にあわれるご家族やパートナーの安全と平穏を取り戻すことも可能となります。