日本では、古くからの家族観・社会制度により、習慣的・潜在的に男性優位な社会構造となっていました。「男は仕事を優先すべき」「男は男らしく、弱音を吐いてはいけない」「女は家事や子育てを優先すべき」「女は女らしく、家のことを守っていればいい」といった性別の役割分担の考え方が社会的・文化的に根付いています。 男性優位な構造には、「男性を支配する側、女性が支配される側」という考え方があり、家庭内の暴力(DV・ドメスティックバイオレンス)は単なる「夫婦ゲンカ」と見なされることも多く、周囲に訴えにくい環境にあります。訴えたところで、DV・ドメスティックバイオレンスの全てが解決するわけでなく、相手に更なる恨みを持たれてしまい、別れた後には付きまといや脅迫などのストーカー行為に発展する事もあります。

あなたのパートナー(妻、夫、彼女、彼氏)はあなたに対し、暴力的、支配的なコミュニケーションを強いていませんか。パートナーはそれをDVと認めないかもしれませんが、判断するのはあなた自身です。被害にあっていると感じながらも耐え忍ぶことは、愛ではありません。あなたが勇気をもってパートナーとの現在の関係性に終止符を打ち、新たな関係性を築くきっかけになりましょう。パートナーには変わるきっかけ、理由が必要なのかもしれません。

当院では、DV加害者が治療に消極的な場合はまずはご家族が相談にくることを勧めています。もしあなた自身がパートナーの変化のために何かしたいと思うのであれば、あなた自身の関わり方を変えることで変化する可能性はあります。

当院ではクラフトという依存症者本人と良いコミュニケーションを築くためのプログラムをご家族向けに行なっておりますが、これは依存症に限らず、DVのご家庭に対しても有効です。こちらにご参加いただくことも可能です。もちろん、一緒にいることを避けたいと思うのであれば無理に関わる必要はありません。距離を保って静かに見守ることもまた一つの関わり方といえます。

1、家族勉強会

毎週 月曜日 10:20~11:50
全5回で依存症とはどういう病気なのか、その特徴や推奨される家族の関わり方や持つべき考え方など、依存症の基本的な知識を学びます。

2、CRAFT(クラフト)

毎週 木曜日 13:35~15:05
全8回で本人との良好な関係性を築くための考え方や声のかけ方について、実践を通して具体的なコミュニケーションを学びます。