女性の強迫的性行動症(ホスト狂い・男性依存)とは

強迫的性行動症は、国際的な疾病に対する統計基準であるICD-11にある病気です。近年様々な芸能人やスポーツ選手で話題になりましたが、繰り返す浮気や不倫、お金を借金するほどの風俗通い、生活に支障が出るほどのマスターベーションなど、やめたいのに性的行動の抑制ができなくなる状態のことを言います。

上記は特に男性の強迫的性行動症の方にみられる行動ですが、女性でも同様です。パートナーがいるにも関わらず、出会い系サイトで性行為の相手を探したり、パートナーがいなくても毎晩異なる相手と性的な関係を持ったりします。ただ楽しんで満たされている間はいいのですが、これが繰り返されるうちにだんだんと苦痛や虚しさ、寂しさを感じるようになるかもしれません。しかし気が付いた時にはもう自分の意思では衝動を抑制することができず、時間の無駄だとわかっているのに相手を探し続けたり、後から後悔すると思うのに性行為をしてしまったり…

また、必ずしも性行為を伴うとは限りません。特に女性の場合は、以下のような恋愛依存やホスト依存といった形で問題が生じることもあります。

恋愛依存症

恋愛依存

他にも、『男性依存』『恋人依存』『彼氏依存』など呼ばれます。

・常に彼氏がいる状態じゃないと落ち着かない

・一人の人に限らず、自分を好いてくれる人であれば何人いても良い

・彼氏に必要とされる存在でありたいため、時間やお金を費やして彼氏との関係性を続けようとする

・仕事や家族、友人との約束よりも彼氏との予定を優先する

・常に彼氏の行動を把握するために逐一SNSをチェックする

・別れを切り出されるとどんな手を使ってでも(懇願、脅し、金銭的援助など)関係を修復しようとする

・別れた後も忘れられず何度も連絡を取ったり会ったりする

など、恋愛が生活の中心であり、他の重要なことを蔑ろにすることで社会的、経済的、対人的な問題が生じる状態をいいます。中には別れた後にストーカー行為を繰り返しトラブルに発展するケースもあります。

「別れた方がいいとわかっているのに別れられない」「自分の感情に振り回されるのがつらい」「このままではもっと問題が大きくなってしまう」など、対象から離れたい、相手に執着することをやめたいと思っている方はご相談ください。

ホスト依存(ホスト狂い)

他にも、『ホストクラブ依存』『ホス狂』『ガチ恋』など呼ばれます。

・ホストクラブに通い始めてから、通う頻度や使うお金がどんどん増えている

・バイト代や給料だけでは支払いが回らず、家族やカード会社、消費者金融からお金を借りるようになった

・担当ホストの売り上げに貢献するため、稼ぎやすい仕事に転職した

・ホストクラブでは自分が大事にしてもらっている、愛されていると感じる

・自分が売り上げに貢献していると思うと誇らしい気持ちになる、優越感がある

・ホストクラブで過ごす時間が一番の幸せであり、何よりも優先している

・担当ホストをナンバーワンにできるのは私しかいない

・担当ホストの彼女でいるためには売り上げに貢献しないといけない

・お金を使わなかったら担当ホストから嫌われてしまう、自分の価値が無くなってしまうと感じる

など、初めは非日常的な空間を楽しむだけのホスト通いだったにもかかわらず、だんだんと担当ホストにとって特別な存在でいるためにお金や時間を費やすようになります。中には自分自身も煌びやかに見せるために高い装飾品にお金を使うことが増え、結果的に買い物依存症に繋がっていくケース、担当ホストと親しくなりたいがゆえにストーカー行為を行うケースもあります。「その場では気持ちが大きくなって大金を使うものの、家に帰ってくると虚しくなって後悔する」「このままでは自分の人生が破滅する」など、今の状態から抜け出したい、ホストに執着することをやめたいと思っている方はご相談ください。

地下アイドル、YouTuber(アイドルオタク、追っかけ)

地下アイドル、YouTuber、TikTokerなど、インターネットが発展した現代ではパートナーやホストに限らず時間やお金を惜しまずに投資できる対象はたくさんあります。これらのファンは一般的にはアイドルオタク、追っかけ、崇拝者などと呼ばれ、日々の生活を豊かにしてくれる存在に対し“推し活“に勤しみます(CDやチェキなどの大量買い、ライブ配信の投げ銭、事務所への物資支援etc…)。

しかし、これらの存在は時間を作って会いに行けば行くほど、あるいは金銭的な応援をすればするほど自分の存在を認識してくれます。すると、自分は他とは違う特別なファンであると優越感を抱けたり、もっと自分のことを知ってほしいあるいは相手のことを知りたいという気持ちになります。その思いがまた対象と関わりたい欲求を強くし、行動の制御を難しくさせます。「最初はただのファンやいち視聴者だったのに、気が付いたら何よりの優先事項が推し活になってしまい、その結果時間やお金、対人関係などあらゆるものを失ってしまった…」「昔のように心の底から楽しんで応援できない。お金を使いすぎて後悔しちゃう」「ただのファンサだってわかってるのにやめられない」など、今の状態から抜け出したい、対象への執着することをやめたいと思っている方はご相談ください。

治療について

本来であれば問題が悪化する前に対策を立て、予防することが一番ですが、恋愛や娯楽(ホストクラブ、Youtube視聴、推し活)は世の中で普通に受け入れられているものであり、それ自体悪ではありません。

しかしながら衝動の抑制が苦手な人にとっては、こういった活動を娯楽の範囲にとどまらせることが難しく、経済的あるいは社会的な問題につながります。発達障害等で衝動の抑制が苦手な人の場合はさらに大きな問題に発展します。こうなるともはや冷静に物事を考えることはできず、パートナー、ホストなど関心のある対象のことで頭がいっぱいな視野狭窄状態に陥ります。そのため、問題や自身の思考を整理し、広い視野を取り戻すために集団精神療法、カウンセリング等を行います。

また、対象のパートナーやホストクラブから距離を置くことはもちろんですが、これだけでは弱いことが多く、このような対象に近づけないような生活習慣を作ることも重要です。こういった場合、当院のグループホームに入居することで物理的に関係を持てない環境にすることが可能です。さらに、お金を稼ぐために夜の仕事をして昼夜逆転の生活になっている方もおり、当院の就労支援を利用することで昼間の仕事に就き、規則正しい生活習慣を取り戻すことも可能です。

なお、対象に貢ぐことが当たり前になってしまうと普段の金銭感覚から狂ってきます(1万円が100円玉のように感じる!)。就労訓練を終え一般就労となれば当然収入が増えますので、そのときにまた衝動的にお金を使ってしまうことのないよう、限られたお金の中で計画的に生活できるような金銭感覚の訓練も行えます。

依存症専門外来

家族相談

上述の状態になると、自ら治療の必要性を認識し進んで治療を受けることが難しくなります。問題が大きくなってから初めて家族が知ることもよくあります。例えば、娘に対し「最近夜遊びが多いなぁ」と思っていたらその半年後に300万の借金があることがわかり、何に使ったのか問い質して、初めてホストクラブに通っていたことが判明するケース。それでもなお家族に返済を求め、娘自身はまだホストクラブに通い続けようとすることがあります。

家族としては一刻も早く娘を夜の街から引き離したい一心ですが、娘自身がホスト通いをやめたいと思わないとなかなか止めることが困難です。一方で、娘が自身の問題と向き合うために家族がサポートできることもあります。当院では家族相談を行っています。ときに問題に直面させようとする家族の関わりは、かえって娘の問題行動に拍車をかけることもあり、お互い感情的に傷つけあったり無視をしたりと関係悪化に繋がることもあります。困ったことがあったときに相談してもらえるように、まずは関係改善のための取り組みから始めましょう。

家族相談は遠回りに思えるかもしれませんが、ご家族が今できる最善の行動です。

本人が来たがらない場合

まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。恋愛依存・ホスト依存は家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。