以前に比べれば、司法の領域にも盗撮や痴漢といった性犯罪がただの犯罪ではなくパラフィリア症群である、つまり治療を必要とする病気であるという考えが広まってきています。それでもまだまだ理解は不十分であり、治療の機会を逃して実刑となったり、社会内での処遇が許されたとしても未治療のまま生活を続け再犯に至ってしまうことがよくあります。
罪を犯したことに対して責任を取ることは重要ですが、それだけでは再犯の抑止とはなりません。刑務所に入っている間は問題行動の引き金となるようなものが無く欲求すら感じませんが、出所すれば引き金に曝された生活に戻るため再犯の可能性は高くなります。継続した専門的治療が必要なのです。それを司法の場でアピールするためには、すでに当院での治療を開始しており、治療実績を積んでいることが重要です。
そこで、患者さんから弁護の依頼を受けたらすぐにでも当院に受診してもらうことをお勧めします。起訴される前や裁判が開かれる前に治療を始め、患者さんの病気に対する理解を深めて動機付けておくことが望ましいでしょう。