クレプトマニアという病名は最近になってメディアで取り上げられることが増えてきてはいるものの、治療が必要な病気であるという認識はまだまだありません。患者さまの中には「犯罪なので捕まらないと治りませんね」「手癖の悪さはもうどうにもなりません」と医師から言われ治療を受けられず、逮捕された後に当院の受診に至っている方がいます。精神科の領域でさえこのような状態であり(もちろん中には職業的窃盗者もいることは事実ですが)、専門的に診断から治療まで行える病院はそう多くないでしょう。

当院は入院設備を持たないため、外来通院での治療となります。クレプトマニアの治療で一般的なものは集団精神療法ですが、そのときの精神状態によっては薬物療法も行います。

1、集団精神療法

毎週 水曜日 10:20~11:50
毎週 月曜日 13:35~15:05
毎週 金曜日 13:35~15:05
他のクレプトマニアの患者さまと一緒にこれまでの生活を振り返り、これからの健全な生活の送り方について考えます。同じ病気に悩む他者の話を聞くことで一人じゃないという安心感や自分も回復できるんだという自信を得ることができます。
なお、こういった集まりは医療機関に限らず、KAという自助グループでも行われています。各地域にありますので検索してみると良いでしょう。

2、集団認知行動療法

毎週 水曜日 10:20~11:50
認知行動療法に基づいたテキストを使っています。万引きの引き金や万引きに至るまでの自分の感情や思考を検討し、対処方法を考えます。また、万引きをしないだけではなく、今後自分の人生をどうしていきたいかという目標を考え、そのために今できることを具体的に考えます。再犯防止に役立つ内容で構成されており、全12回です。

3、薬物療法

上述した他の精神疾患を合併している方にはその症状への投薬治療を行います。また、逮捕されたことで一時的な抑うつ状態や不眠に陥る方もおり、医師の判断と患者さまの希望により投薬治療で気持ちを和らげることも可能です。

治療期間について

治療期間については、上記プログラムを受けながら、年単位で通院を続けていきます。しかしそもそも重症(逮捕されてからも万引きがとまっていない)の方や通院するうちに再犯してしまった場合などは、入院設備のある病院と連携し入院治療を行ないます。
なお、空いている時間があると万引きしてしまう、本人の万引きの問題に家族が対応しきれないなど、単身生活に問題がある方の場合は更生施設やグループホームへの入所も検討します。生活指導員のもと、再犯しないような安全な環境で規則正しい生活習慣を築くことができます。当院のグループホームについて詳しくはこちら

本人が来たがらない場合

まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。クレプトマニアは家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。