患者さんの大部分が学生や社会人として日常生活を送っています。中には繰り返し薬物を使用しながらもぎりぎりの所で踏みとどまっている方もいます。そのような方が来院する一つのきっかけが、逮捕です。大きなデメリットがないと依存症や治療について考えることはありません。しかし、できることならそうなる前に「コントロールできていない」ということに気が付き、治療に繋がることが望ましいでしょう。薬物依存症を克服する方法と聞いて、ダルクなどの入院施設や回復施設をイメージする方もいるかもしれませんが、重症でなければ必ずしもこれらを治療の第一選択とする必要はありません。早期の対策により、社会生活の中での回復が見込めます。

当院は入院設備を持たないため、外来通院での治療となります。薬物依存症の治療で一般的なものは集団精神療法ですが、そのときの精神状態によっては薬物療法も行います。

1、集団精神療法

毎週 水曜日 18:50~20:30
同じように薬物による問題を抱えている他の患者さまと一緒にこれまでの生活を振り返り、これからの健全な生活の送り方について考えます。他者の話を聞くことで一人じゃないという安心感や自分も回復できるんだという自信を得ることができます。
なお、こういった集まりは医療機関に限らず、NAという自助グループでも行われています。各地域にありますので検索してみると良いでしょう。

2、集団認知行動療法

毎週 土曜日 13:35~15:05
認知行動療法に基づいたテキストを使っています。薬物使用の引き金を検討し対処行動を考える、今後の目標とそのために自分ができる行動を具体的に考えるといった内容で構成されています。具体的に自分の思考や行動について検討できるため、再犯防止や回復に役立つ効果が期待できます。

3、薬物療法

薬物使用によって抑うつ症状や被害妄想、幻聴といった精神症状が引き起こされることがあります。あるいは、もともとうつ状態があり、気分をあげるために薬物を使用していた方もいます。そのような場合に再使用に繋がらないよう医師の判断のもと向精神薬を処方します。中には投薬治療を受けることに抵抗があるという方もいますが、違法薬物とは異なり容量用法を守った服薬をすることは適切な対処行動といえます。

治療期間について

治療期間については、上記治療を受けながら概ね2年ほど通院を続けます。しかしそもそも重症(薬物使用が毎日続いており離脱期を抜けられない)の方や通院するうちに状態が悪化してしまった場合などは、入院設備のある病院と連携し入院治療を行ないます。解毒入院のみであれば2週間程度、心理教育目的の入院であれば3ヶ月ほどを要します。
なお、一人で自由な時間があると薬物を使ってしまう、本人の薬物問題に家族が対応しきれないなど、単身生活に問題がある方の場合は更生施設やグループホームへの入所も検討します。生活指導員のもと、薬物使用の引き金を避けた安全な環境で規則正しい生活習慣を築くことができます。
当院のグループホームについて詳しくはこちら

神奈川県から薬物依存症の「依存症専門医療機関」 として選定されました

依存症専門医療機関とは、依存症に係る所定の研修を修了した医師等が配置され、依存症に特化した専門プログラムを行うなど、依存症に関する専門的な医療を提供できる医療機関として、当院が神奈川県から薬物依存症の専門医療機関・依存症治療拠点機関に選定されました。

本人が来たがらない場合

まずは対応を相談するためにご家族が受診してください。薬物依存症は家族とのコミュニケーション次第で問題行動は悪化も改善もします。本人との関係性が改善すれば治療に繋げる機会も増えるので今すぐご相談してください。