依存症と人権侵害の歴史
その宇都宮病院で看護職員が鉄パイプで入院患者を殺害したのです。事件後に朝日新聞がこのことを取り上げました。そして国連人権委員会をはじめ、世界中より日本が非難されることになりました。
これを深刻に考えた日本政府は、「障害者の権利に関する宣言」等の国連総会の人権に関する宣言を次々と受け入れました。そして精神障害者に対する偏見や差別の改善をはかり、人権重視の方向に動いたのは言うまでもありません。また同時に世界的にも人権重視の方向に進みました。そして2008年に、国際人権法に基づく「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が、国連で発効されました。内容は障害者の尊厳と権利を保障する国際的条約です。そして2025年までには、世界の192か国が批准することとなり、障害者に対する人権意識を向上させることになりました。日本も発効と同時にこの条約を批准しようとしました。しかし、当時の日本はこの条約を受け入れることができる状況ではありませんでした。
政府はこの様な状況を改善するために、次々と新しい法律を制定して、2014年に批准にこぎつけました。当時政府が制定した法律は、就労移行支援事業所等の設立の根拠である「障害者総合支援法」、障害者雇用の根拠である「障害者雇用促進法」、障害者に対する合理的配慮の根拠である「障害者差別解消法」です。
「障害者権利条約」が人権侵害から人権重視への世界的な流れを生み、この50年間で精神医療の最大のターニングポイントを作りました。もちろん、この条約のために制定された障害者総合支援法がなければ、依存症の専門施設のほとんどは誕生できませんでした。
この様に状況が大きく変化したのは、「障害者権利条約」がいままでの国連の宣言と異なり、国際的拘束力を持つ条約だったからです。国際的拘束力を持つということは、強制力があるということです。日本はこの条約を2014年に批准しました。そのために条約に基づく業務を履行しているかどうかについて、国連からの監視を受け入れることになりました。その監視を受けるために、日本は国連の障害者権利委員会に、定期的に日本の状況を説明するための「政府報告書」を提出することになりました。そして、国連も「政府報告書」を精査し、日本を評価、指導することになりました。
世界のスタンダード
前に述べたようにこの条約には国際的な強制力があります。このために批准する国が慎重に検討したことは間違いありません。そして障害者権利条約は多くの国からの提案や批判にさらされました。それから17年間の長期間にわたって世界の国々からの提案や批判に対応し続け、2025年には世界の192カ国が批准するに至りました。この様な経過がありますので、この条約の障害者に対する考え方、見方は世界のスタンダードと言ってよいと思います。
私もこの条約の前文にある「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度および環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生じることを認め」等は、若い頃の自分には思いもつかず、現在読んでも感動的ですらあります。
国連からの勧告
その総括所見の中で第27条の「労働および雇用」に関しての内容が大きな問題となりました。そしてそこには日本の施設に対して、以下の2点の重要な指摘がありました。(以下は外務省の翻訳より)
国連の第1の懸念
「低賃金で、開かれた労働市場への移行機会が限定的な作業所および雇用に関連した福祉サービスにおける、障害者、特に知的障害者および精神障害者の分離」
② “分離”は原文では“segregation”という英語が使用されており、“segregation”は日本語で「分離・隔離」などと訳される言葉です。特に人種差別、性差別など特定のグループを人種、宗教などによって区別・分離する時に使われます。
国連の第2の勧告
「障害者を包容する労働環境で、同一価値の労働についての同一報酬を伴う形で、作業所および雇用に関連した福祉サービスから、民間および公的部門における開かれた労働市場への障害者の移行の迅速化のための努力を強化すること」
この勧告は衝撃的で、今回の統括所見の中で、最も大きな話題となった1つです。
「居場所型施設」から「通過型の施設」へ
この国連の宣言通りに現実が動けば、日本の居場所型施設は減少することになります。日本の施設の大多数は居場所型施設です。居場所型施設からすれば施設の存在そのものを、不安定にさせる国連の宣言ですから、衝撃的であったことは予想できます。そしてこの国連の宣言の実施に、今後施設側の強い抵抗も予想されています。
しかしながら近年は障害者雇用は急拡大しています。またそれだけでなく、施設の持つネガティブフォースのために、現在施設を利用している利用者の中には本来なら一般就労できる利用者も多く含まれていると言われます。これらの利用者は一般就労すべきと思われます。利用者である無職のアルコール依存症の息子を持つ両親にすれば、断酒することも望まれますが、本当は自分の他界する時には息子が断酒し、働いていて、自立した生活をしていることを望まれると思います。この様に考えると、国連の宣言していることが正しい将来像と、私は思います。
まとめ
背景として、日本の障害福祉施設は民営化されており、経営の安定が治療方針に影響しやすいという構造問題があります。利用者数に応じて報酬が支払われる制度のため、(1) 利用期間を長くする、(2) 軽症者も入所させる、(3) B型を中心に運営する、といった経営上の“ネガティブフォース”が働きやすい。これは本来の役割である社会復帰支援を弱め、利用者の就労意欲にもマイナスの影響を与えます。
一方で施設にも様々なタイプがあり、経営重視型・利益重視型・歴史的背景で余裕を欠くタイプ・規模適正で就労支援に積極的な現代型・重症軽症を分けた専門型など、6分類で整理される。利用者にとってはどのタイプの施設に入るかで回復の方向性が大きく左右されます。特に長期滞在は生活保護との依存・社会参加能力の低下を招き、国連のいう“隔離・人権侵害”の構造をつくりうる。
まとめると、日本の依存症専門施設には、制度的・経営的な要因が重なり、国連が懸念する「隔離」「低賃金」「一般就労への移行の少なさ」が実際に存在している。今後は、居場所型から通過型への転換、就労支援の強化、ネガティブフォースの抑制が重要になるとされます。
就労支援の選び方

国の支援制度

全国の専門施設のデータ
専門医からの5つのアドバイス
文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください、文章を作成してください。

一般社会で働くことが生活の質を高め、病状を軽減させます。











































