就労支援のタイプと選び方


この背景には、就労施設の構造的問題の存在が挙げられます。ひとつ目は、就労施設は利益を追求できる民間会社でも運営できることです。施設の倒産を恐れるあまり、治療より、利益を優先される傾向があります。経営が安定していないと、理想的な医療は行いにくくなります。
ふたつ目は、日本の保険制度において、基本的には就労施設は月間の総利用者人数に応じて、国から報酬を受け取る制度になっていることです。このために就労施設が利益を上げようとすると、多くの新規の利用者を集めるか、利用者の利用期間を延ばせばよいことになります。利用期間を延ばすことは就労で退所することに消極的になり、結果、就労率が低くなる傾向があります。
この2点は就労施設の運営に大きな影響を与え、収益確保の考え方や就労に対する取り組み等の組み合わせが施設の方針となって現れます。これら方針によって、就労施設は大きく5つのタイプに分類されます。
就労施設の5つのタイプ
経営重視
定員数
20人以下
運営施設数
単独
施設種類
自立・B型
就労定着率
0~9%
エリア
- 小規模で利用者確保に苦労
- 利用者の就労に消極的、利用期間は長い、就労定着率は低い
- 施設に入る必要のない利用者に入所を勧める
- 運営しやすい自立訓練やB型が多い
- このタイプが施設数は全国で一番多い
利益重視型
定員数
150人
運営施設数
単独・複数
施設種類
B型主体
就労定着率
0~9%
エリア
- 大規模化、入所強化、就労阻害なりがち
- 利用者を積極的に集約する
- 退所を極端に避ける、あるいは阻害する傾向
- 地価を考え、地方にあることが多い
伝統型
定員数
150人
運営施設数
複数
施設種類
B型・移行
就労定着率
0~9%
エリア
- 老舗型で、利用者想い
- 就労には消極的
- 施設内で利用者をレベルアップさせる意識あり、作業や保護就労に熱心
- 一般社会にレベルアップする意識は強くなく、就労を意識的に阻害しない
- 患者の生活を考え、都市部にあることが多い
現代単独型
定員数
20人以下
運営施設数
単独
施設種類
自立・B型
就労定着率
15%以上
エリア
- 就労重視、適正規模、ネガティブフォース少ない
- 一般就労に対して積極的で高い定着率
- 利用期間は長くなく、自立訓練タイプが多い
- 患者の社会復帰を考え、都市部にあることが多い
現代病状重視
定員数
40人以下
運営施設数
単独・複数
施設種類
2施設以上
就労定着率
15%以上
エリア
- 軽症・重症を分けて対応、大規模傾向
- 軽症利用者には移行・自立で対応し、高い就労定着率
- 重症者にはB型で対応し、就労定着率は一般施設に比べるとやや高いレベル
- 2種類の治療を行うため大規模の施設か、多数の施設を持つ
就労施設のエリア分け

エリアマップ

エリアとタイプ
エリア
エリア
エリア
- 古くから設立されているために老舗であり、
- 利用者の施設内でのレベルアップを考えるために高工賃であることが多く、
- 利用者は長期間通所することになるのでB型事業所を持っており、
- 利用者の事を考えるので意図的に就労を阻害することがないために就労移行事業所を持つ傾向があり、
- 事業所の利益を重視しないので、施設を拡大する傾向が弱く、施設拡大には消極的である
利益重視タイプは定員数を増加させて利益を求めなければなりません。
- 施設拡大には積極的
- 少ない利用者でできるだけ施設を大きくするために利用期間が長く設定できるB型事業所を持ちます
結果として、利益重視タイプは施設拡大に積極的で、B型を持っているか、B型事業所のみを運営しているタイプとなりやすくなります。
工賃月額(B型)
例えばあなたが1カ月に6万円の障害年金を受給していたとしても、合計で1カ月に約7万円にしかなりません。これでは持ち家であっても生活できないでしょう。B型事業所では自立は困難と思われます。自立するなら就労移行支援事業所から就労するのが一般的と思われます。
ではしばらくB型事業所で訓練を受けて、実力を上げて、その後にA型事業所や就労移行支援事業所に転籍して、さらに階段を上るように実力を上げて、一般就労をするというのはどうでしょうか?理論的にはうまくいきそうにも見えます。しかし障害者支援法の20年間の実績では、B型事業所からA型事業所に、あるいはB型事業所から就労移行支援事業所に移行できる可能性が著しく低いことはわかっています。またこれだけでなくA型事業所から一般就労する可能性も著しく低いことも、また、就労移行支援事業所から一般就労する可能性も必ずしも高くないこともわかっています。このために厚労省も、この様にランクを徐々に上げ就労を目指す方法では、ほとんど就労できない旨を発表しています。
結論としてはB型事業所では生涯親のすねかじりか、親の遺産で生活するか、生活保護になる可能性が高いと思われます。


まとめ
そのデータを分析した結果の全体像は先に示した「平均就労定着率6%」です。これからは分析結果を更に詳しく見てみると、少しでも就労の可能性を上げたいと思う人は、事業所別の就労定着率を見て下さい。就労B型事業所や自立訓練事業は約50%の事業所が4年間で6ケ月以上継続して働き続ける就労者を1人も出していないので、就労できる可能性は低いと思われます。就労移行支援事業所は平均26%の障害者が就労していますので、就労を望むのなら、就労移行支援事業所を選択することが良いと思われます。ただし、就労移行支援事業所は全国に12事業所しかなく、地方では見つからない自治体も少なくありません。また、12施設のうち、11施設は他の就労支援事業も行なっている多機能施設で行なわれております。このために自分が就労移行支援事業所を希望しても、必ず就労移行支援事業所に配属されるかどうかは分かりません。
このような状況なので、次善の策としてB型事業所、自立支援事業所の中で良好な就労定着率を上げているトップクラスの施設を選ぶことが考えられます。そうすれば、就労移行支援事業所の中ランクと同率の就労定着率を期待できると思います。また、この資料に「資料編」を付けております。ここには就労定着率を詳細に分類して、見てすぐ分かるように円グラフにしましたので参照してください。就労定着率の現状がつぶさに分かると思います。
就労施設を選ぶ際に「働く」、つまり、一般企業に就職したいことを第一に考えるのであれば、就労定着率のみならず、簡易識別表に基づき、タイプの特徴やB型のみなのか、他の事業も運営しているのかなど、施設の特徴を理解し、個別の施設とコンタクトすることが望ましいのではないかと思われます。
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一般社会で働くことが生活の質を高め、病状を軽減させます。










































